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繋いだ手が離され、何だろうと僕が首を傾げると彼は髪の毛を撫でるように触った後にぽんぽんと軽くたたく。
「これで良し」
「何が?」
「葉っぱがついてたんだ。またどこかの草を採りに行ってたんだろ?
まぁ、この森は危ない奴はいないから大丈夫だけど気をつけないと駄目だぞ」
「そんなヘマしないよ」
「そうかなぁ。お前変な所でこけたりするからなぁ」
「そんな事ないっ!」
僕が怒っているのにもかかわらず、彼は改めて手を繋ぎ歩き出す。何が楽しいのかよくわからないけれど、嬉しそうにしているノイの姿を見ているとそれ以上怒るのもなんだか馬鹿らしく思えてくるが、そのまま素直に手を引かれるのもなんだか癪で。僕は複雑な表情で家に着くまでの間、彼が話しかけてきても無視する事にした。
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