嘘つきのレシピ

ゴーレムの少年

　僕が彼―ノイ―に出会ったのはおよそ数ヶ月前の事だった。
　その日もこうして薬草を探していた時にノイに出会ったのだ。家の傍にある大きな木にリドという鳥が巣を作ったのだけれど、その小鳥が一匹巣から落ちてしまっていたのだ。羽を少し怪我していたようだったから、その怪我を治すために水辺で生えるという薬草を探しに湖にいた時のことだ。
　湖の近くのどろどろとした場所に薬草を見つけ、それを採るために足を滑らせないように（ここで転べば泥だらけになること間違いなしだったからだ）慎重に歩いていた。そんな時に後ろから声をかけられ、振り向こうとした時にバランスを崩して泥水の中に倒れこもうとした僕を助けようとしたのがノイである。ちなみに声をかけてきたのもノイだ。
　これで助けてくれたのであれば、まぁ、感謝の言葉もあるだろうが…。足場は悪いことに滑りやすい沼地。助けに入ってくれたノイともども転んで泥だらけになったあげく、転んだ先も悪く採ろうとしていた薬草の上に倒れてしまったのだ。