理由

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理由

公園に着いたリョーコはどこか遠い目をしていた。虚無、憂鬱、孤独――それらが混ざったような瞳だ。 浮かない表情で、彼女は遊具の奥にある茂みの方へと向かっていった。 一体何をするつもりなのだろうか。僕は再び、彼女の後をつけていく。 小さな公園のはずが緑が茂っているせいで、アマゾンの奥地のようにも思える。照りつける日差し、じわじわと流れ出る汗のせいで、余計に辺境の地を彷彿とさせた。 緑をかき分けて茂みの奥に入ると、そこは日差しがあまり差し込まない場所だった。木々は生えず、辺り一面は土と砂利くらいで、特に遊べるような場所でもない。子供が何人か隠れるには丁度いい広さ、というくらいだ。 リョーコは少しこんもりと盛られた土の前に来ると、そこにしゃがみこみ、コンビニ袋から何やら色々と取り出している。 僕がその様子をうかがっていると、リョーコは突然言葉を口にした。 「……ごめんね」 何に対して謝っているのだろうか。 「……私のせいで、あんなことになって。私、なんて言えばいいの」 あんなこと? 一体何の話だ。 「……ミーちゃん」 リョーコの口からその名が出た瞬間、僕は身を震わせた。     
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