例えば太陽がなかったら

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 「おいおい、勘弁してくれよ。何も盗んでないってのに」  「勝手に城に入り込んで、盗もうとしていたのなら、それは罪だ」  自分だけだと思っていたが、あの時あの部屋にいた男が目の前にいた。  男は真っ白い髪をしており、多分男なのだろうが、女のような顔をしている。  「あんた男?」  「男だ。で、君こそ誰かな?ここは定妙炎家だと知って盗みに来たのかな?」  「勿論!俺はこう見えて、結構情報ツウなんでね。最低限の金を持ってる城かどうかは知ってる心算だ!」  堂々とそんなことを言う男に呆れていると、また別の男がやってきた。  「龍海、どうしたー?」  なんともだるそうに現れたその男は、青い髪を少しはねさせている。  この白髪の男が龍海なのだとわかった男は、そのなんとも威厳がない男に声をかけた。  「なああんた!俺には小さな妹がいてな、そいつに薬の一つでも買って行ってやろうと思ってただけなんだ!ここから出すように、そいつに言ってくれ!」  「・・・えー。めんどうくさい」  「面倒臭いって隣にいるだろ!ふざけんなよ!城主でも連れてこいこの野郎!」  「このお方は城主の瑠堂様だ」  「はいはい、そういう冗談はいらねえから、さっさと連れてきて俺を解放するように言ってくれって・・・」  冗談だと思ったのだが、龍海は至って真面目な顔をしていた。  そういえば、代々分析力や観察力、人望が厚かったとされていた定妙炎家だが、今はうつけが城主になっていると聞いたことがある。  しかし、こんな馬鹿なと。  「冗談とか言ってるぞ!まあ、確かに。けど俺は俺なりに頑張ってるんだぞ。それより龍海、今日俺のクツ下見なかった?」  「存じません」  「えー。どういうことだよ。姿見えねえよ。行方不明なんだよ」  嘘だ嘘だと思って見ていた男に、龍海が名前を聞くと、男はへへ、と笑って誤魔化しながらも、大和、と名乗った。  「大和・・・?」  「はい・・・へへ」  どうにかここから逃げられないかと、いや、こんな馬鹿そうな城主なら出してくれるのではないかと、大和は必死に交渉をする。
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