0人が本棚に入れています
本棚に追加
出会い
「いやー。気持ちがいい!
病院のクソまずい飯と、悪い空気からは
おさらば!なんて清々しいんだ!」
その時、
「ご、ごめんなさい!」
人にぶつかってしまった。
「いや、いいよ。僕もしっかり前を
見てなかったのが悪いし…って…」
そそくさとその人は立ち去ってしまった。
僕は、その子の手に痣があったのを
見逃さなかった。
「ということで、長らく学校を休んでいた
金谷遷都くんが今日から
学校に来る。
みんな仲良くしてやってくれ。」
「金谷 遷都です。よろしく。」
久しぶりの学校だったが、たった3ヶ月で、
かなり雰囲気が変わっていた。
良くない雰囲気だ。
「金谷、君はそこ。
吾妻千咲さんの横。」
そういって、1番左の列の
1番後ろに座った。
「よろしく、吾妻さん。」
「えぇ。よろしく。」
そう言った吾妻さんの腕には、
あの、痣があった。
しかし、腕だけでなくあちこちにあった。
だけど、聞くのも悪い気がして
そこに触れることは無かった。
休み時間…
大体の人は転校生または、
久方に来たクラスメイトに
話しかけてくるのがセオリーだが、
このクラスで話しかけてくる人は
いなかった。
少し疑問に感じ、隣のクラスの親友、
久坂圭人に話を
聞こうとした。すると、
「ちょっ、ちょっと待て。屋上に行くぞ」
と、焦ったように屋上へ連れていかれた。
「今、この学校は転校生の
竹島学と
松田誠一郎が
占拠してる。」
「どういうこと?占拠ってつまり…」
「そう。この学校はあの二人の
手の中にあるってことだ。」
「まぁそんなところか。もうひとつ
聞きたいことがある。」
「手短に頼む。」
「吾妻 千咲についてだ。知ってるよな?」
「…あぁ。痣のことか。
千咲は、アイツらに反抗して、
今、殴られ続けている。
1度の反抗でずっとだ。
部下の柊綾人に任
せているみたいだが…」
僕はそれを聞いて、苛立ちを覚えた。
「助けるつもりは…?」
「あるけど、俺の力だけじゃ
足止めが精一杯だ。」
そうか。なら、問題ない。
圭人程度で、足止めが精一杯なら、
アイツらは。
【落とせる】
最初のコメントを投稿しよう!