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彼女は開き直ったようで寝転んだまま答えた。
「空に吸はれし十五の心、だよ」
「は?」
つい、バカにしているような声で言ってしまった。
僕は時間を無駄にしたと思い、屋上から出ようとした。
そしたら、引き止めるかのように彼女は言った。
「知らないの? 授業でやったよね?」
普通に言っているだろうけれど、イラッとした。
寝転んでいる彼女に近づき言った。
「俳句だろ?それがどうしたんだよ?」
「さっきバカにされたから言いません。」
そう言って、顔を逸らされた。
「あのさ、ここは立ち入り禁止。先生に言ったらどうなると思う?」
これで僕の方が優勢だと思ったのだが。
「同罪だよ。」
なんだよ、こいつ。
「ここのこと黙ってくれるなら教えるよ。」
彼女には、勝てない気がした。
「分かった。誰に言わない。
で、ここで何していたの?」
そういった途端、彼女は嬉しそうに話し始めた。
「俳句を実践していたの!」
僕の頭のには、はてなマークが浮かんだ。
「考えるより、まず行動!」
そう言って僕の腕を引っ張って寝かせた。
その瞬間。
僕の目の前には、どこまでも続く澄んだ青空が広がった。
青い空に心、奪われる。
「うわっ!スゴい!」
自然と声が上がった。
これが、空に吸われるか。
あまりの感動に、隣にいた彼女が、やっと笑った、
も言ったことに気がつかなかった。
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