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「それで今日はどうされたんです? リオス王子」
スモモさまの肩の感触を噛み締めながら、呆れた眼差しを向ける男に話を振った。
男ーーリオス王子は、この国ホンプラス王国の第四王子である。
第四王子という立場にあるはずだが、視察という名目で真面目に飲み屋街に繰り出す男でもある。
幼少期も私が通う市民の学校に通っていたし、城よりも庭付きの一軒家に住みたいと豪語するような男だ。
そして、スモモさまの出会いを斡旋したのもこの男である。
「父上がお前を呼んでこいとおっしゃられてな」
「また、マリカーですか?」
「それは分からんが......」
リオス王子が小さく笑った。これは珍しい。
「父上が嘆いておられたぞ。お前がまったく手加減をしてくれないと」
「何をおっしゃいますか。王様に手心を加えるのは失礼にあたります」
「父上ももう年だ。花ぐらい持たせてやってくれ」
たとえゲームであろうとも、あの王様では一髪でバレてしまう気がするが。
伊達に一国を背負っておられないのだ。奸計ごとには鼻が効く。
「まぁ、善処しましょう」
「頼む」
嘯く私に、いつものようにリオス王子が苦笑した。
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