第1章 アマチュア小説家は飛ばされる。

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「アーベルト、セフィル!!調達してきたぞ~」 「全く、リスターが大声出すから苦労した。足痛い」 「付近に龍はいないようですので、夕食にしましょう」 「夕食…豪華…」 4人の声が聞こえる。 「ワジョウくん。ほら、さっき言ってた4人が帰ってきたようですよ」 「さっさと飯に…っておい。こいつどうしたんだ」 さっきまで、うるさかったのに、急に静かになった。 「迷子、かな?さっき見つけて、介護してた」 「ふーん?アーベルトが介護、ねぇ…?」 「迷子にしては、この辺の服を身につけていないようですが…?」 「それに、不思議な匂い…」 「貴方達。一旦落ち着きなさい。まだ、彼について私とアーベルトも全く知らないのですから」 「そりゃ失礼。神官殿」 「全く…。大丈夫でしたか、ワジョウくん?」 「あっ、えっと、大丈夫、です」 急に色んな情報が入ってくるからびっくりした…。 ってか、セフィル、苦労してるなぁ…。ごめんよ。 「まずはご飯にしましょう。話はそれからです」 セフィルがそういうと、皆夕食の準備に取り掛かる。 だが、俺の記憶が確かならこのパーティーに料理が得意なやつがいなかったはずだ。 …。何か破壊した音がする。 はぁ、俺が作るか。 「あの…。夕食作り手伝いましょうか?」 「いや、ワジョウは座ってても…」 タイミング良く破壊音がする。 「…頼んでもいいかい?」 そう言うと、アーベルトは包丁を貸してくれた。 使える食材は、さっきとってきた肉と実と香草ぐらいか。 なら、ハーブ焼きにするか。 包丁で手際よく食材を切っていく。 あとは、味付けをして、焼く。 全く、どうして料理で破壊音が聞こえるのか…。 犯人探しはあとにして、残った食材でスープを作る。 食器類は、収納魔法で予備の分も持ち歩いていたので、何とかなった。 ちなみに、周りは、あまりの手際の良さに、自分の出る幕はないと思い、ちょこんと座っていた。 ちょっと可愛いと思ったのは心の中に留めておく。 「はい、ハーブ焼きとスープです。熱いので気をつけて食べて下さいね」 出された料理を見た瞬間、みんなの目が輝いているように見えた。
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