驟雨を待ってる

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『私、笹原君のこと結構バカだと思ってるけど結構好きだよ』 貶してんのか褒めてんのかよく分からないことを言われたのは、彼女が姿を消す前の夏休み。 1学期の成績がよろしくなかった生徒は夏休みに学校で補習を受けなければいけない。 誰だよそんな決まり作ったやつ。まあそうでもしないと卒業出来ないやつ多発なんだろうけど。 夏休みが始まってから毎朝毎朝ため息ついて、母さんのあきれ声での「行ってらっしゃい」を背中で聞きながら家を出る。 今朝黒いリュックサックの中に詰めたのは数学と英語の問題集、あと電子辞書。昼御飯は学校から出て少し歩いたところにあるコンビニに行く。 あーあ。本当、憂鬱。 グレーのズボンのポケットに手を突っ込んで夏休みに入ってからもう何度ついたかも分からないため息をつく。 ため息ついたら幸せ逃げるとか、知るかよばーか。 補習ひっかかった時点で不幸なのは確定してるっての。
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