驟雨を待ってる

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「お前、何してんの」 「あまりに曇り空が憂鬱だったから空書いてた」 空き教室にいたのは安藤で、安藤の目の前にある黒板には青空が広がっている。 吸い込まれそうなくらい、鮮やかな空。 「……うまいな」 思わずそう口にすると安藤は俺の顔を覗きこみ自慢げに笑った。 「ふふーん!!クラスの一匹狼に褒められちゃったー!!」 「……なんだよ、一匹狼って。お前も人のこと言えないだろ」 口を尖らせてそう言い返すと安藤は笑顔のままで言う。 「人のことは言えないけど、でも事実でしょう?」 「……うるせ。人の悪口でばかり盛り上がるやつらと一緒にいるくらいならひとりでいる方が楽だ」 安藤は青いチョークと白いチョークをチョーク置きに置いた。カランッと軽い音が雨音しか聞こえない教室に響く。
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