青の商人と青の女王

　ああ、これはこれは、女王陛下、相変わらず見目麗(みめうるわ)しく、我々臣民にご慈悲のお言葉を。

ブル、ふざけてるの？

いつもとは違う青の商人のいんぎんなモノの言い方に、笑いを必死にこらえながら、女王は尋ねます。

何をおっしゃいますやら。

ボク、ワタシはふざけてなどいませんよ。

ははあ、さてはシェイクスピアにかぶれているとか、あなたすぐ影響受けるものね。

女王がそう言うのなら、女王に合わせようと考えた青の商人は、よりシェイクスピア劇らしく、セリフを探し出して言いました。

なきにしもあらず。

えーと、トゥービーノットトゥービーだったっけ？

　まあいいわ。

で、青の宝石たちは？

はい、この子たち、いやこれらなんですけど。

青の商人は、例のひときわ輝くブルーサファイアをうしろに隠しながら、ラピスラズリやアクアマリンやブルートパーズ、アイオライトを差し出しました。

うーん、どれもステキね。

あら、今回はブルーサファイアはなかったの？

青の商人はどきりとしましたが、青の女王にさとられないように、しっかりとブルーサファイアを握りながら説明しました。

ブルルリ族も、今回は良質なブルーサファイアの原石を手に入れられなかったようで。

ふーんそうなんだ、残念。