青い体液の彼女

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一瞬の沈黙。 やがて、 誰かが口を開こうとした。 けれど、 何を言おうとしたかはわからなかった。 青い血の彼女は、 顔色ひとつ変えず、 薄いカードのようなものを、 ポケットから取り出した。 カードが強い光を発した。 視界が真っ白になる。 数秒後、 クラスメイト達は何事もなかったかのように、 彼女の傷を心配していた。 「大丈夫? 血が出てるよ」 「保健室に行った方がいいよ」 「一応、 消毒しときな」 「保健委員って、 誰だっけ?」 ぼくは戦慄した。 おかしい。 おかしすぎる。 けど、 ぼくは何も言わず、 みんなに合わせることにした。 本能みたいなものが、 ここで騒ぐのは危険だと告げていた。
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