1-2.だからこそ届かなかった

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 頬を膨らませたエリヤに、くすくす笑うウィリアムは続き部屋のドアを開いた。  細い少年の体は、見た目よりさらに軽く感じられる。  天蓋付きの豪華なベッドにエリヤの体を横たえ、上着を脱がしてやる。大人しくされるままに見上げてくるエリヤが笑みを浮かべた。  同じように上着を放り出したウィリアムが隣に滑り込むと、いつものように三つ編みを引き寄せる。自分の瞳と同じ蒼いリボンを見つめ、解き始めた。サテンの滑らかなリボンは、シュルルと音を立てて解ける。  普段は解いたりしないエリヤの行動に目を瞠ったウィリアムは、髪を完全に解かれてしまい苦笑した。  先ほどの悪戯の返礼だろうか。 「このままにしていろ、今日は編むな」  命じるほど強くない、可愛い少年の我が侭を笑顔で受け止めたウィリアムは、腕の中に彼の体を閉じ込めた。 「ああ、エリヤが望むなら……」  互いの体温を分け合いながら、ゆっくりと意識を手放す。  この城の誰が知るだろう。毅然と国の采配をこなす少年王エリヤが、1人では眠れないことを――。  シーツに散らばったブラウンの長い髪を弄りながら、エリヤはやがて訪れた眠りの腕に意識を預けた。     
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