青い虚感

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 心の中にじわじわと青が侵食しているのを感じた。日々、そこに化け物がいることを感じている。近くに這いより、僕の体を食い尽くす。残された体を余さず口に放り込み、牙を突き立てて僕を咀嚼しようとする。  だから、飛び起きた。  スカイ。スカイ。どこにいるんだ、スカイ。  青くなった布を払いのけて、青い斑点がついた黒いブーツを慌ててはき、スカイを呼ぶ。鞄に用意を急いで詰め込んで、スカイが肩に乗ったのを確認すると、僕はすぐさま建物の外へと飛び出す。振り返ると青い液体が白い建物を塗りつくしていて、床下から青に溶けていっている。それを見て、すっかりはめるのを忘れていた皮手袋を手にはめる。  口元には昨日舐めたしょっぱさが残っている。  リンゴ味のする涎を手の甲でぬぐった。
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