青い虚感

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 僕は笑いながらスカイの口に挟まれた塊を手でくだいてやる。白く冷たい温度が直接手を伝う。僕の温度を吸いとる。はっとなって、手袋をはめた。  忘れていた。これがなければ、知らぬ間に雪に体温を奪われてしまう。カバンからすっかり青色に染め上げられた皮手袋をぎゅっとはめて、出発する。  ドアに見立てた垂れ下がる布をひっぱり下げる。四角に丁寧に居り、すでにぱんぱんになった鞄にしまうと振り返り別れを告げる。 「今回は長かった気がする」  白い砂浜に建てられた四角い立方体はそこだけ異様で、僕たちがいること自体が間違っている気がしてくる。不安になり、僕の肩に飛び乗ったスカイを見つめるが、こいつは何も返してくれない。  すると、四角い形をした建物は床からヒビがはいるように線が入り、青が白を引き込むようにして溶かし込む。青がほとばしり、瓦礫になり、散らばった瓦礫が青に浸されて白い砂浜に消えていく。残った青は次第に透けていき、押し寄せてくる海の波にさらわれてどこへともなく去っていく。  僕は透き通る青い海の遠くを見つめて、いつか僕もそこへいくのだろうかと感慨にふけってしまう。僕の仲間がそうだったように、きっとすべては無為なのだと感じてしまい逝くのだろう。  残されたのは僕という人間一人と猫一匹と、この丸ごと白く染まった世界。  全て独りじめだ。
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