青い虚感

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 それから街を探索した。街はところどころ白に侵されており、雪なのか砂なのかわからないものになり果て、崩れていた。街から外れた、森に近い場所はもうすでにビルは建っておらず、もともとビルだったのか、森の木だったかわからない白い砂まみれになっていた。そこに僕が来たせいで白い砂の中からぶくぶくと青が噴出した。慌てて逃げた。  スカイはその間中、僕の頭に乗ったり、背負っているバックに乗ったりして邪魔をした。おかげできれいさっぱり、僕の身の回りは青に染まっていた。白いTシャツは青色になり、靴はスカイの毛が触れた箇所だけ不自然に青が巻き付いた。僕やスカイから一週間ぐらい離さないと落ちないぐらいの青だ。  探索して、ある家屋に人の気配を感じた。そこに僕達は歩みを進めた。屋根は白い砂と化し、あけっぴろげになっていたけれど、床には焚火の跡が残っていた。すっかり乾いていた体には遅いかもしれないが、ありがたく残っていた薪をいただいた。  焚火周辺には、不自然なほどに白い霧が立ち込めていた。火をおこして煙をたたせていたからか、それともこの人型をした白い影のせいかはわからない。僕がその白い影が何かを気付く前に、スカイが青く長い尻尾ではたいたから、結局白い影は何かわからなくなった。  それからスカイはなき、と僕を呼んだ。そこにはまだ木の原色を灯した板が転がっていた。板には、白い砂がかかっている。まるで白い手が板に手をかけているよう。その砂を息を吹きかけ消す。板をひっぺ替えした。 「スカイ、これ見てよ」  真っ赤な熟れたリンゴが、僕の目に映る。 「赤だ」
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