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父は母の手伝いも良くする。料理や掃除に買い物、ときには母も呆れていた。
僕が父を嫌いな理由は何なのか。
決まってる。僕は父になれない。父みたいにはなれない。どうしても口には出せないが父に対しての劣等感が僕に父を嫌いにさせるのだ。
中学生にあがって、父に対して嫌みを言っても父は怒らない。
父に怒鳴りつけても父は怒らない。
ただ、母さんに暴言をかけたときは父は僕を張り倒した。重い一撃が僕の頬をめり込んだ。
「母親であっても女性は大切にしろ!」
反抗期真っ盛りだった僕でも死ぬほど恐ろしく「ごめんなさい」と口をついた。
それを聞いた父の目には涙が滲んでいた。
そんな出来すぎた父を僕はどうしても好きになれなかった。
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