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それが少年の場合、分かりやすくカラフルな世界ではなかっただけのことだ。
「青と緑ねぇ」
彼女はその告白を即座に否定はしてこなかった。ただ冗談として笑ってごまかそうとすることもなかった。
ただ真剣な瞳で告白をした少年を見つめる。
「君は俺に告白して、俺たちは付き合っているんだろう。なぁ、俺の彼女なら教えてくれよ」
「……」
「どうやったら青い色を楽しむことができる?」
別に知りたいわけじゃない。知ることに意味はない
面白半分に自分をからかったのに腹を立てたのだ。
ただぼうっとしていたから、腕をつかまれて、告白されて……。その反応が面白かったから付き合おうと言った。
ただ本に書いてある「恋」がしたいからというくだらない理由で。
そしてその相手はどうでも良かったわけだ。ただ反応が面白かった程度で捕まえられて。
だから腹を立てて聞いてみた。
それに対して少女は、しばし考えて。
「まぁ、あれね。一般的な本で得た知識でもいいんだけど」
そう前提をしたうえで
「海は何色だと思う」
「海は青いというな」
「では草木の葉は?」
「一般的に緑だと言われていないか?」
むろん少年にはそれがわからないから、本や人の話を総合した知識でしかないのだが。
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