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 一週間後、いつも通っている校舎の写真が△△新聞の一面に大きく載せられていることに気づくと、私は思わず目を見開いた。  一か月前から捜索が続いていた清水卓也の行方について、『大きな進展』があったというのだ。   昨日の午後、校舎向かいの雑木林を整備していた管理人が男性の白骨死体を発見したというのだ。  捜査の結果、遺体は彼のものであることが判明した。 「お母さん、私、ちょっと学校に行ってくる」  居間でテレビを眺めている母親に声をかけると、驚いた顔をされた。テレビのワイドショーにも、あの校舎が、映っている。  だが、私には胸騒ぎがあった。田郎についてだ。あの青色だ。あれは、私に何かを訴えかけていたのではないだろうか。  私は、家を飛び出した。校舎の周りは、騒然としていた。報道のバンが歩道に沿って止まり、野次馬もそこそこに集まっている。正面門は固く閉ざされているらしい。遠くから眺めると、カメラに向かって話す女性リポーターの姿も見えた。  これでは、中に入ることは不可能だった。     
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