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 物心のつく前から見えていたそれが、特別なものであることに気が付いたのは、小学校に上がる直前の事だった。  青い光、まるで後ろから懐中電灯で照らされているかのように、ぼうっと青色の光を帯びる大人がいる。それが私には見えるのだ。そして、相手と眼を合わせることが青い光を見つける鍵のようであった。  人によって、その青はまるで空のように薄かったり濃かったり、個性があるようだった。周りにいる全ての大人たちが光を発するわけではなかったので、母親に手を引かれ街を歩くとき、幼稚園の職員室に遊びに行ったとき、祖母の家に遊びに行ったとき、出かけた先でそうした大人を見つけると、私はまるで宝物を見つけたかのように顔を輝かせ、母親に報告しては首を傾げられたものだった。  その後、テレビで『共感覚』のことを知る。あるタレントは出会う人一人一人にまったく違う色のオーラが見えるらしい。曰く、その人によれば番組の司会者は赤色で、共演している女性アイドルはピンク色らしい。  『共感覚』――私だけの特性。  自分のオーラがピンク色と聞き、喜ぶ女性アイドルを見ながら、幼い私も無邪気にうれしく感じたものだった。しかし、この特性が真実に意味するものを、その後知ることになる。
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