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病院を訪れる度、院内ですれ違う人を一人一人じろじろと見つめる私は、いつも母親にたしなめられていた。
祖母の病室の前に到着した。母親がノックして、扉を開けた。
病室の中も、やはり明るかった。暖色系の壁紙や、小綺麗な棚やテレビもあって、白く無機質なベッドさえなければ病室というよりはホテルの一室のようであった。
その白いベッドに、祖母がいた。
「おばあちゃん、今日は緑子も一緒に来ましたよ」
母親がそういうと、祖母はうれしそうに目を細めて私に手招きした。
私は嬉しくなっておばあちゃん、と声をかけようとしたが、その目をみた瞬間、私は固まってしまった。
少し前に見た教育番組を思い出した。祖母には、その番組で映し出されていた深海のような、限りなく暗黒に近い光が差していた。つい先ほど駅のホームで出会った女の光にも似ていた。なぜだろうか、今日は青い光に対して不安を覚える。
「みどりこちゃん、こっちにおいで」
祖母は固まる私に声をかけた。私はゆっくりと近づくと、祖母の手を握った。
「そうしたら、私はちょっと先生とお話ししてくるから、おばあちゃんは緑子とお話ししていてください」
母親はそう言い残すと、私と祖母を残して出て行った。
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