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 二人きりになった後で、祖母は私の不安そうな様子に気が付いたのか、しわがれた手で私の頭をゆっくりとなでた。 「みどりこちゃん、どうしたの。何か、いやなことがあったの。」 「だって、おばあちゃんが――」 ――青い光が、と言いそうになって、やめた。なぜだかわからないが、言わない方がいいと思ったのだ。  とうとう泣き出しそうにさえなっている私に、祖母は何かを感じ取ったのだろう。 「そうかい、何も言わなくていいんだよ。おばあちゃんはなんでも知っているんだからね」  そういって、私がベッドの横で疲れて眠るまで、頭をなで続けてくれていた。  それから、目覚めた時には帰りのタクシーの中だった。  駅に着いた時、母親が電光掲示板を見て、ため息をついた。最初に、二人が電車に乗り込んだ駅で人身事故が発生したらしかった。  そして数日後、祖母が亡くなったと、聞いた。
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