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そして、何も手掛かりはみつからないまま、ついに夏休みを迎えることになった。おそらく保護者を交えて今後のことを話し合っていたのだろう。
清水卓也は野球部だった。背は高くなく、キャッチャーだったようだがとりわけうまいわけでもなく、最後の大会も一度も打席に立つことなく終わった。素行が良いとは言えず、春休み明けに金色に染めてきた髪を自慢していたかと思えば、野球部の顧問に呼び出され、翌日には全部刈り上げさせられていた。ただ、他人に有害な人ではなかったと思う。誰かをいじめることもなく、去年の秋の文化祭では、彼のクラスが企画し、繁盛していたバンド喫茶も、彼が中心で進めていたそうだ。
今のクラスでは、私がさっきすれ違った尾野田郎と仲が良かった――。
気が付けば、先ほどまで後ろで世間話に興じていた女生徒達もいなくなっていた。思考をめぐらせていた私は、クラスの中にほとんど人がいなくなっていることに気が付いた。残っている人といえば……。
「広田、ちょっといいか」
気が付けば、クラスに残っているのは私と田郎の二人だけだった。声をかけてきた彼に視線を向けると、相変わらずあの青い光が彼から発せられていて、はっとなった。
「なに?」
動揺を隠して、返事をした。
「いや、さっきさ、職員室に行ってたんだろ。……どうだった?」
「どうだったって?」
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