青色イルミネーション

　君計は青い傘が嫌いだ。
　特に良くないのは、女性が青い傘を差すことだ。青い傘は、雨で滅入った気分をさらに重くする。目の前の世界全体が雨雲のせいで青褪めている中、なぜ、あえて青い傘を差すのか気が知れない。
　どうせ差すなら盛りの花を思わせる鮮やかな赤や、雲に隠れてしまった太陽を連想させる黄色い傘がいいと思う。男性には難しい色だが、女性であれば人の目を気にすることもないから、積極的に華やかな色を差せばいい。そうしてくれれば雨と雨雲で重くなった世界も、少しは明るくなるというものだ。
　青い傘はよくない。いくら薄い光が傘の青色の中で反射して自分を綺麗に見せるからといって、寒々しい色を使うのはよくない。周りに、この人はなにか悲しいことでもあったのかと、自分にはどうにもしてやれない思いを抱えているのではと、やるせない虚しい気持ちにさせるからだ。
　もっと、常に明るい色を使うべきだ。いつも健康的に陽気に振る舞い、「私の心は開かれています」とアピールすべきだ。
　彼氏に、これ以上入ってくるなと青い囲いを作るなんて、彼女のすることじゃない。