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これが、暖色系のイルミネーションであったなら、そんな事にはならなかっただろう。
青色の光が二人に…主に君計に与えた影響の一つは、その不自然な輝きによって状況の現実味を失わせ、ついさっきまで摂取していたアルコールも相まって浮ついた気分にさせたことである。
そしてもう一つ。これが最悪だったのだが、笠音は青い照明が異様に嵌まる女だった。普通、青色に照らされればいくらか顔色も悪く見え幽霊染みた表情になりそうなものだが、彼女の場合は青色に引き立てられ、普段の何倍も美しく見えた。
だから、君計は大学の同級生どころかどんな女性に対しても普段はしない、口説くような真似をしてしまった。公衆の道端で。
口説かれた側の笠音はというと、特段喜んだ様子も見せず、かといって取り立てて嫌がることもなく次に会う約束を受け入れた。
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