0人が本棚に入れています
本棚に追加
君計は青い石が入った指輪が嫌いだ。
そんな指輪が似合う指は血色の無い、体温の低い指だ。触れた相手を拒否する、人の心まで冷やす手だ。
君計は海の青が嫌いだ。
海を見ている女の目というものは、反射した青が瞳に映り、はるか遠くを見ている様に見える。隣に居る人間の存在を忘れてしまったかの様に見える。
明け方の青が嫌いだ。
青白い光が夜に慣れた目を眩ませて、何もかもを遠のかせる。このまま会えなくなっても全く平気だと、いままでの白々しい関係の輪郭だけをやたらと明瞭に縁取る。
あの時の彼女も、綺麗だった。どうせだったら、黄色い昼か赤い夕方を彼女を見る最後にすればよかった。
最初のコメントを投稿しよう!