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「だけど誤解しないで。ナツナオいい人だから。リース事件もあなたに同情してたよ。手間暇と予算に差がありすぎで可哀想、って」
「ナハハさん、ありがとう。たいへんためになる話だったわ」
「あのっ、わたしも、タテちゃんのあなたに対する接し方が、いい加減っていうか。仕方なく付き合ってる感がして。それで、あなたがタテちゃんのこと、本気で友達って思ってたら可哀想と思って。いつか声かけなきゃって思ってたの」
十数年しか生きていないけれど。こんな友情物語に参加できるなんて。貴重な体験だ。
「あの、わたしから聞いたって言わないでね」
「大丈夫。私たち同じクラスなのに話したこともないんだから」
ナハハは、ちいさな声で「ごめんなさい」と言った。
なにが「ごめんなさい」なのか、まったくもってわからない。
ナハハは敵前逃亡するように教室を出て行った。
「帰ろ」
近くの小学校から夕焼け小焼けが流れてきた。良い子は帰る時間だ。
「さて、どうやってあいつらから嫌われるかな」
私は、3次元ではしがないモブキャラ。
だけど雑魚じゃない。
「まずは美容室行って、コンタクト作るか」
私が納得できるさよならをはじめよう。
私なりのやりかたで。
〈完〉
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