さよなら、おともだち

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 だって、気持ち悪いじゃん。常にニコニコしていて他人の悪口言ったことがないなんて。  そんなの人間らしさが感じられない。どうしたらそんな人間が出来上がるのか。  中学生の時聞いた話だと、両親が高齢で、あきらめていたところにやっとできた娘さんだそうで、蝶よ花よと育てられたそうだけど……。  本人の本質もあるんだろうけど。甘やかしがお姫様を作るのかな。 「アリカちゃん、いつも好きなもの追いかけて、笑顔だよね。とても元気で明るくて」  私に話しかけてきたときは大変つならなそうな顔だったのに、アリカの話をはじめたら口角が上がっている。 「ねぇ、ちょっといい?」  タテちゃんは私を促した。  ヤダ。という選択はないようだ。  仕方なくタテちゃんの後につくと、タテちゃんは笑い声が絶えないアリカととりまきのところに向かった。 「アリカちゃん」  タテちゃんはアリカに話かけた。大変嬉しそうに。  とりまきたちの輪が左右にわれて、アリカ姫が跪く家臣を見下ろすような目つきで現れた。  ここぞとばかりに私を隣に立たせるタテちゃん。 「…ちゃんとアリカちゃんて、ずっと同じ学校なんだってね」  タテちゃんは紙袋を持っていた。手を突っ込んでなにか取り出した。 「はい、…ちゃんにあげる」     
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