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手作りのクリスマスリースだった。材料は100円ショップで買ったのか。単行本くらいの大きさで、赤いリボンが巻きついている。てっぺんに赤い実のついた柊らしき造花。
「あ、ありがとう」
他人からものをもらうなんて、私なんかいいことしたっけ? まぁ、ここは素直に喜んでおこう。
「これは、アリカちゃんに!」
ところが、次にタテちゃんがアリカに渡したリースを目にした途端、私は自分がもらったリボンが巻かれただけのものを握りつぶしたくなった。
「アリカちゃんのイメージでつくったの」
タテちゃんのドヤ顔はいまでも記憶の隅に張り付いている。
そんな昔の話、いい加減忘れなよ、と言われても。あのときのとりまきたちの私に対する「え、いくらなんでも差がありすぎない?」という同情の視線と、たくさんのお花に包まれたリースを持って。
「わーっ、可愛い。タテちゃん器用だね。ありがとう。大切にするね」
と絶やさない笑顔と、私にむかって勝ち誇ったような目を向けたアリカ。
「なんだ、この茶番」
こんなことまでしてアリカと仲良くなりたいのか。
私は3次元ではモブキャラ中のモブだけど、雑魚扱いされていい気持ちがするわけがない。
もう絶対にタテちゃんには近づかない。
……と、私が思っても、向こうから近づいて来られては避けようがない。
「今度はストラップ作ったの、…ちゃんにあげるね」
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