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また質素な手作りを押し付けられた。その足でアリカたちの輪に入っていく。
色とりどりのストラップをアリカととりまきたちに配っている。
私をダシにアリカと仲良くなれてよかったね。
手作りグッズはその報酬と思うことにした。
「でね、ついにアリカちゃんとライブに行くことになったの!」
下駄箱で待ち伏せされて、ハンバーガーショップに引きずり込まれ、どうでもいい話を聞かされている。
黙ってホットコーヒーをすする。
私がなにも言わないからか。タテちゃんは唇をとがらせ。
「…ちゃんて、アニメ好きなんだって?」
反射的にアッツアツのコーヒーをタテちゃんの顔面にぶっかけるところだった。
ただの興味で人の世界に踏み込むなよ。
「よくわかんないけど。憤慨の暇人って漫画原作なの?」
もちろん知っている。大ヒット漫画でアニメもやっているし、全巻持っている。来年実写映画になる。
「映画にさ、タクポンが出るの」
タクポン。あぁ、いましがたアリカとライブに行くと言ったアイドルグループの一員か。
「行かない?」
「行くよ、原作好きだから」
「そうじゃなくて、一緒に」
「え?」
「あたしって、一人で映画とかいけない人だから」
コーヒーを口からダバダバ出しそうになった。
「アリカと行けばいいじゃない」
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