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「それで? できなかった理由はなんなの?」
「いやー、それが緊張からお腹がキリキリと痛んでもう告白どころじゃなくってさ、はは」
私はお腹を摩る。
それを見るのんちゃんが、体を若干のけ反らせて「くさい」と鼻を押さえた。
「この歳で漏らさないよっ! もう、のんちゃんのバカ」
「知ってる。からかってみただけ」
「やっぱり、のんちゃのバカ」
「でも腹痛ってお弁当の何かが当たったの? 普通、緊張だけでそこまで痛くなるかな」
「うーん」
お弁当は母親が作ってくれたものだから、それはないだろう。
というのも一度、母親自身が食中毒になったこともあり、お弁当の具材には相当、気を使っているからだ。なら原因はなんだろうとなると、やっぱり極度の緊張以外にはないような気がする。
それを伝えるとのんちゃんは、
「まあ、腸が働き過ぎちゃう人もいるからね。遥の腸もそうなのかも。で、トイレ行かなくていいの? 早く出してきなよ。ビッチャビチャの緩いうんち」
などと口にする。
躊躇うこともなく淡々と。委員長然としたはっきりとした口調で。
「ずばっと言わなくてもっ! ……あれ? そういえば告白を止めた安堵感から切羽詰まった状態ではなくなったかも、私の腸」
「とは言え、溜まってるのだから出したほうがいいに決まってる」
「うーん、でも学校で“大”のほうかぁ。ちょっと勇気ないかも。のんちゃんだって学校ではしずらくない?」
「いや、私はうんちそのものをしないから」
「いつから国民的美少女アイドルになったのっ? のんちゃんっ!」
「この世に生を受けたときからに決まってるだろ。そうだ私は生まれたときからうんちをしない。それ以前にうんちを生成することすらしないのだ、ははは」
「よっ、パーフェクトヒューマンっ!」
「うんち、しない、ぜったい。ははは」
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