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失せ物ダンジョン
財宝を、力を、さらには未知を求め。
果敢にも太古の遺跡やモンスターの巣窟に挑む者達がいる。
名を冒険者・・・
鍛え抜かれた肉体を有し、度重なる危険を物怖じすることなく突き抜けるその様は、他の者からは羨望のまなざしを向けられる。
・・・が、一見華やかな出で立ちの彼らも決して毎回が毎回、成果を上げているわけではない。
屈強なモンスターや卑劣な罠に行く手を阻まれ、ため込んだ金銭、馴染みの武具、さらには大切な仲間すら失うことがある。
そんな彼らにとってこのダンジョンはせめてもの救いだ。
どういうわけかダンジョンの最下層にはその人間が無くした大切な物が沸き、そんな噂を聞きつけた冒険者が今日も今日でダンジョンを彷徨う。
・・・
「ふぅ。こいつでようやく終わりか」
巨大な大剣を携えた剣士がため息交じりに呟くと、姉御肌の魔法使いがそれに続いた。
「思ったより大変だったわね。でも、それなりに楽しかったわ」
無くした物が見つかると言われるこのダンジョンでは、これまで戦ったことのあるモンスターやギミックのみが出現し、なんだか昔に戻ったような感覚がある。
二人の後ろを懐かしみながらも、私はそう思っていた。
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