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小さな勇気と彼女の言葉
雪が降る街並みは新鮮だ。
街のあちこちでクリスマスソングが鳴り響く中、ボクはようやく彼女を見つけた。
商店街にある大きなモミの木。田舎町の小さな名所は待ち合わせに便利だ。
同じように考える人は多く。彼女との待ち合わせ場所は多くの人でにぎわっていた。
その多くがカップル。ボクと彼女のように若い男女ばかり。
中には待ち合わせで片割れがいない人も多くいたが、カップルの比率はとても多いといえよう。
それもそのはずだ。今日はクリスマスイブでこの街には珍しい雪も降っている。
「ごめん、待った?」
ドラマや小説で良く見かけるセリフだが、彼女を待たせているボクにはピッタリのセリフだ。
ここでのお決まり文句は「ううん、わたしもいま来たところ」だけど、彼女はボクに気付くと小さく笑った。
「うん、すごく待ったよ」
「ご、ごめん…そんなに待ってたならやっぱり連絡すればよかったかな?」
「いいよ、こういう日に人を待つってすっごく新鮮なの。楽しいから、不問よ不問。それに連絡なんかしたら台無しじゃない」
どれくらい待ったのかはわからないけど、彼女の頬はいつも以上に赤かった。
冬場で雪も降っている中、ここで待っていたのだろう。
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