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木樵の案内で白雲先生は深山の青磁窯に辿り着きました。
先日、宮仕えを辞した先生が真っ先に行なったのは青磁の窯元を訪ねることでした。
政事の世界に身を置いている間、心身共に休まることがありませんでした。そんな先生を癒してくれたのが青磁の品々です。その中でもお気に入りなのは童女型の水滴で仕事場と自宅の両方に置くほどでした。
「汝はいつもこうして瓶を揚げて水のしずくを硯に注いでくれるのだなぁ」
先生は青衣を身に付け瓶を持った童女 の水滴を手にしながら微笑みました。玉の肌でくっきりとした顔立ちの彼女は恭しく膝を折って先生に終日仕えてくれているのです。
「先生 ようこそいらっしゃいました」
窯元の主人が出迎えてくれました。
予め来意を告げられていた作業場内を見せてくれました。窯の前で地面で、机上で職人たちは各自の仕事に専念しています。このように多くの手によって青磁は完成するのである、先生は感心しながら見て回ります。
「こちらがいま完成した物です」
主人が十個ほどの青磁を見せてくれました。先生はその中から菊の紋様が描かれた杯を取りました。
「これを貰おう」
先生は杯を懐に納め窯元を後にしました。
家に帰った先生は今日見た光景を詩に詠んだのでした。
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