0人が本棚に入れています
本棚に追加
ロビンソン
真っ青な舌は、さっきまで食べていたブルーハワイのかき氷の味が確かにした。
七緒は重ねていた唇を離すと
「なんか夏が死んでく気配がするんだけどー」
と健康的な笑顔でからからと笑いながら言った。
七緒は本なんて少しも読まないのに、時々どことなく文学的な言い回しをした。
私はそれが好きだった。
「どこらへんからその気配はするの」
と聞く。
「なんかさー、うまく言えないんだけど、そこかしこからするんだよね」
今日でメニューからかき氷が消えるってのもあるかもしれないけど、と言って七緒はまた笑う。
校則違反のショートカットの金髪は、酷く傷んでるのに日の光に透けているのがとても綺麗だった。
午前十時は底抜けに明るい。
学校をさぼって二人でかき氷を食べるのは、これが最後だろう。
最初のコメントを投稿しよう!