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「教授!しっかりして下さい!大丈夫ですか!」
軽く体を揺さぶられ、私は驚いて身を起こした
ここは……
私の研究室
「全然起きないから驚きましたよ。もう少しで救急車を呼ぶところでした」
白衣を身にまとった、赤みがかった長髪の、美しい女性が目の前に立っていた
君は、誰だったかな?
私はそう言おうと口を動かして、声が出ないことに気がついた
「!!!!!」
「どうしたんですか?」
私は手元にあったノートを開き、そこに声が出ないという事を書こうと、ペンを取った、いや、正確には取ろうとしたが、手が動かなくなった
どういうことだ!
ノートを開くことが出来た手が、ペンを掴もうとすると動かなくなる
異変を察知した女性が、私の肩に手を乗せて、冷静に話し始めた
「教授、落ち着いて下さい。私が察するに、教授は今、声を発することが出来ない、違いますか?」
私は大きく頷いた
「そして、手にも力が入らない、そうですね?」
半分正解で、半分は不正解。だけど、それをどう伝えたらいいのかまでは浮かばなかった
「とりあえず、すぐに病院へ行き、検査して貰いましょう。待ってて下さい、すぐに準備します」
女性はそう言って、準備を始めた
私には、どうしても女性が誰なのか思い出せなかった。それに、私の研究室には女性はいなかったはずだ
しかし、私が必死に他の男子学生達に、女性が誰なのかと、身振り手振りで聞き出すと、皆口を揃えて
「教授の助手じゃないですか」
と言ったのだった
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