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私の研究室では、薔薇についての様々な研究をしていた
どれだけ鮮やかな発色の薔薇が作れるか
逆に、どれだけ淡く優しい色の薔薇が作れるか
他にも花の大きいもの、小さいもの、病気に強いもの、花が長期間咲くもの…
とにかく薔薇に関する大小様々な研究を、皆それぞれが行っていた
しかし、青薔薇を生み出すことは、あくまでも私個人の幼い時からの夢で、ここで皆で研究する気も、たとえ生み出せたとしても、世間に発表する気もなかった
だから、私が青薔薇を追い求めていることは、この研究室の誰も知らなかった
私が紅城君にあの場所の話をするまでは…
言葉を失い、書くことも出来なくなった私は、唯一まともに意思の疎通が出来る紅城君に、自分の体験したあの不思議な出来事を、聞いてもらいたくなってしまった
それは恐らく、あれが夢ではないと、現実だったのだと、そして私の脳に刻まれた青薔薇姫の情報が、ただの私の妄想でないのだと、確認したかったのかもしれない
紅城君は肯定も否定もせず、ただ私の話を聞き入れ、少しだけ悲しそうな表情を浮かべただけだった
その表情の意味は後に知ることになるのだが…
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