高嶺の花が落ちる時

12/33
前へ
/33ページ
次へ
うちの野球部は、練習には木製のバットを使用している。 そうするほうが芯を捉えるとかなんとか、難しいことは分からないけど、それがこんなことになるなんて──。 「騒ぐなっ!他の先生に伝えて救急車呼べ!」 保健医の声に、そこに居た生徒の動きが変わった。オタオタしてるだけだったのに、彼の指示で動き始める。 「よし、応急処置は済んだ。そっと運べ。まぁ、死にゃしねぇよ」 とても不謹慎な言い方だけど、それで周りの緊張感もほぐれていくのが分かった。 「へぇ、ちゃんと保健医やってるのね」 アンリの感想に私も「うん」と頷いた。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

407人が本棚に入れています
本棚に追加