高嶺の花が落ちる時

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「自意識過剰っていうのよ、それ」 俯く私の前に立ってそう言い返したのは、栗色の柔かい髪をふわりと揺らす、御子柴アンリ。私の唯一の友達と言ってもいい存在だ。 「そもそも、美織は馬鹿なんて言ってないしでしょ?被害妄想も妄想だけにしてよね」 アンリがそういい切ると、彼女たちは悔しそうに睨んで、「行こ」と教室から出ていってしまった。 「ったく、美織も言い返せばいいのに」 「ふふ、幼稚園の頃、アンリも私に言ったわ。『お前が金持ちだからって馬鹿にするな』って。私、そんな事一言も言ってないのに」 そう言うとアンリも「そうだった?」と苦笑する。 「ま、美織んちが金持ちなのは本当だけどね」 その言葉に私も苦笑する。
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