高嶺の花が落ちる時

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「今日はいつもにも増して、つまらなそうね」 そんなアンリの言葉に私は苦笑した。 「は?お見合い!?」 驚くアンリに私も苦笑でしか返せない。 「てか、いつの時代の話よ! 江戸時代か! そんなの断ればっ」 「無理。この街に誘致する病院の息子さんだって」 「はい!?この時代に政略結婚!?時代錯誤にも程があるでしょう!?」 本当にそう思うけど、この街に大きな病院を誘致するっていうのは、昔からも父の夢だ。 「全くだ。もっとお子様らしくダダ捏ねりゃいいのに」 「──だっ、誰!?」 アンリと人気のない校舎裏に来て話してたのに、誰かに聞かれるなんてっ! 慌てて振り返ると、そこには全く知らない男性が煙草を吸っていた。
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