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カバネさんの、不安そうな、寂しそうな、まるで捨てられた犬や猫のような表情に、
今すぐ抱きしめて押し倒していただきたい!!!!!
と、思ったけど、そこはぐっと抑えて、僕は目的を果たすために、朝早くから家を出た。
カバネさんよりも優先した、その目的とは……
僕は鞄からメリケンサックを取り出し、右手にしっかりと装着。続けて右足首に2kg程の重りを装着。
よし、準備は出来た。そして、目標の男を確認。
いざ参る!
僕は男の前に進み出た。そして
「屑勇者さん、おはようございますっ!」
挨拶と共にみぞおちに一発食らわせた。
「ぐほぉっっ……な、何者!?」
「僕の恋人が大変お世話になりましたぁっ!」
男が体制を整えようとした所に、素早く重り2kg付き回し蹴りを頬に食らわせた。
男の体は勢いよく吹っ飛んだ。
ちょっと勢いつき過ぎたけど、まぁいいやー。
僕は仰向けに転がっている男の体を、跨ぐようにして仁王立ちした。
「お、お前は誰だ!俺になんか恨みでもあるのか!」
「うーらーみー?あるに決まってるでしょう?」
僕は男の中心に右足をそっと乗せた。
「僕のカバネさんに手を出したこと、一生後悔し続けるがいい!」
右足に力を込めて、男を冷ややかな目で見下しながら、僕は躊躇なく踏みつけた。
声にならない絶叫を上げ、男は気を失った。
こんな乱闘騒ぎを起こしながら、周りには人っ子一人いなかった。なぜならヤシンが全てにおいて、根回しして綿密に計画されたことだから。
「これだけじゃ、まだ足りませんからね…」
ヤシンは男の足首を掴み、ズルズルと引きずって、男が泊まる宿へと運んだ。
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