Two

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 指定された部屋番号を確認して駆け込むと、そこには両手を後ろで縛られ、目隠し、猿轡を装着された……写メ同様の姿でベッドに放置された西塔がいた。  でも、すぐに近寄ることはできなかった。  ベッドにはもう一人の影があったからだ。  全身真っ黒な服を着て、不気味なアノニマスマスクをつけた男性である。  その片手にはナイフが握られていて……理市が西塔に近づこうとした瞬間、そのナイフは西塔の首元に当てられた。 「やめろっ!!」  咄嗟に叫べたのは、その言葉だけだった。  近づいたら刺す、とでも言うのか。 「……おまえの、求めるものは、なんだ?」 「…………」 男は答えない。 「お金? なら、俺に連絡したのは間違いだったな。俺はただの凡人。大金なんて用意できな……――」  用意できない、そう言いかけた瞬間、ナイフが高く掲げられた。手をくるりと返して、ナイフを握り直し……その刃先が西塔めがけて落ちる。  ハッとして「ま、まて!!」と理市が叫ぶと、ナイフが刺さる直前でその手は止まった。 「き、気が早ぇって……、ほら、言う事きいてやんよ。だから……西塔に手ぇ出すな」  ここまで来て、西塔にケガを負わすわけにはいかない。  理市も丸腰で来たわけではない。ズボンのポケットにこっそり折りたたみ式のナイフを仕込んで来た。 「…………脱げ」 「は?」 「裸になれと言ったんだ。二度は言わない」  しかし、折りたたみ式ナイフの出番はない、と言うかのように、相手は低い声でそう言った。
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