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どうやら理市は、南宮の演技にまんまと嵌められていたらしい。
迫真の演技、と言えるのは西塔も同じだろう。
「さーいーとぉぉお!! てめえー!」
「にゃっはっはーん、だまされた方が悪いにゃ~んっ」
「そもそもお前、クスリ飲まされたんだろ? アレも演技なのか?」
理市の指摘に、南宮が取り出したのは、黄色いビニール袋だった。
既視感のあるその袋には、有名な店名と、ペンギンのイラストが描かれている。
「Saaに飲ませたのは、ただのバイアグラです。ドンキホ●テで、あの仮面と一緒に購入しました。いや~民衆にばれないかヒヤヒヤしましたよ」
危ないクスリかと思って心配したのに! そもそも超有名人がド●キでバイアグラを買うな! ネットで買え!
……と、ツッコミどころ満載なその一言に、ツッコミを入れる元気もなく、理市はただ大きなため息をついた。そして気の抜けた身体を、ボフン、と布団の上に沈み込ませる。
「だめだ、なんも考えたくねえ。東雲とヤろうと思って溜めてたのに……スッキリさせやがって、西塔のバーカ! 嘘つき! 犯罪者!」
「んにゃにゃッ! アイドルに向かってバカとはにゃんだ! 犯罪もしてにゃいもんっ」
「嘘つきは泥棒の始まり! つまり嘘つきは犯罪者だって、北条が言ってたんだよ」
目の下に人差し指を添え、あっかんべーと舌を出すと、西塔は「理市クンだって犯罪者のくしぇに!」と頬を膨らませた。
「っるせぇな、チビ!」
「にゃんだとー?!」
やいのやいのと口論を広げていると、南宮が「ふふっ」と笑みを漏らす。それから、思い出したように「ああそうだ」と続けて、ふたりの視線を集めた。
「Saa、卓麻さん。おふたりは、今夜このホテルにお泊りです」
「はあ?」
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