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まるで決定事項のように言い放った南宮を、理市は怪訝そうな顔で見上げる。西塔もきょとん、と首を傾げていた。
「ちょ、勝手に決めんな。お前らの遊びにはもう付き合えねえよ。そもそも、南宮がおしまいって言ったんだろ?」
「ええ、言いましたよ。『このお遊びは、ここまでだ』とね」
南宮はアノニマスマスクに負けないくらいの作り笑顔をこちらに向けながら、黄色いビニール袋をガザガザと漁る。
そして、その袋から取り出したのは、様々な太さと大きさのベルトだった。南京錠がついているものや、鎖がついているもの、金属の輪がついているものなど種類も様々である。
「なんだよ、それ……」
「拘束器具、ですよ。これはインターネットで購入したものですが」
いまいち、何が言いたいのかわからず、西塔とともに理市も首を傾げる。
「監禁ごっこは、終わりなんだろ? なんで、今更そんなもの……」
「ええ、そうです。このお遊び、つまり監禁ごっこは終わりです」
つまり。
つまり?
「ここからは、本当の『監禁』です。いまから、貴方達の自由はありません。ああ、心配しなくていいですよ。Saaの事は白石マネージャーに体調不良と伝えてあります。卓麻くんは……まあ、数日学校を休んだくらいで、問題にはならないでしょう」
ジャラリ、と重い鎖の音がして、南宮が拘束器具の内のひとつを手に取った。
薄暗い部屋に反射する鎖の光から、目を離せない。
「……ふふ、楽しみですね。Sinoは、卓麻さんを助けに来てくれるんでしょうか。まあ、来なくても問題ありませんよ。私が、責任もって可愛がってあげますから、ね」
―Fin―
お題:監禁、やけくそ
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