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あー、おっもしれぇ。と、心の中でニヤニヤと北条の反応を楽しんだ。
北条は作詞を完全に中断させ、床に膝をついて、噴きこぼした紅茶を布巾で拭う。
そんな北条に近づき、視線を合わせるようにしゃがみ、その顔を覗き込んでみた。こちらを向いた北条とばっちり目が合って、理市はニコっと微笑んでやる。
「興味ある?」
「は……?」
「孕ませてやろーか? 北条も」
ドサ、とその身体は、手で押せば簡単に倒れた。
あっけにとられている北条の上に、すばやく跨って、布巾をつかんだままの手を、それごと頭の上でひとつに押さえつける。
「……ッ、お、おまえっ、なに、かんがえてんだ……!」
ドクンドクン、と北条の心臓の音がこちらにも聞こえてくるようだ。
理市は押さえつける手に更にチカラを込めて、恐怖に怯える北条の顔を嗤った。
理市が、なにをするつもりなのか。
なにをさせようとしているのか。
自分は、どうされてしまうのか。
不安を隠しきれない北条は、短く息を吸いながら理市を睨んでいる。
「や、やめろ……はなせ! 人を呼ぶぞ!!」
「はっ、ココ、完全防音なんだろ? ……呼んだって、誰もこねーよ」
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