One

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 あー、おっもしれぇ。と、心の中でニヤニヤと北条の反応を楽しんだ。  北条は作詞を完全に中断させ、床に膝をついて、噴きこぼした紅茶を布巾で拭う。  そんな北条に近づき、視線を合わせるようにしゃがみ、その顔を覗き込んでみた。こちらを向いた北条とばっちり目が合って、理市はニコっと微笑んでやる。 「興味ある?」 「は……?」 「孕ませてやろーか? 北条(おまえ)も」  ドサ、とその身体は、手で押せば簡単に倒れた。  あっけにとられている北条の上に、すばやく跨って、布巾をつかんだままの手を、それごと頭の上でひとつに押さえつける。 「……ッ、お、おまえっ、なに、かんがえてんだ……!」  ドクンドクン、と北条の心臓の音がこちらにも聞こえてくるようだ。  理市は押さえつける手に更にチカラを込めて、恐怖に怯える北条の顔を嗤った。  理市が、なにをするつもりなのか。  なにをさせようとしているのか。  自分は、どうされてしまうのか。  不安を隠しきれない北条は、短く息を吸いながら理市を睨んでいる。 「や、やめろ……はなせ! 人を呼ぶぞ!!」 「はっ、ココ、完全防音なんだろ? ……呼んだって、誰もこねーよ」
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