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理市は空いてる方の手で、怯える北条の髪を撫でた。
さらっとした癖のない髪は、するすると指が通る。
その指先が、今度は頬を撫でていく。
赤くなった頬は、熱を帯び、まるでリンゴのような色とツヤ、そして男性とは思えない、ハリのある肌だ。
そんな頬を撫でていると、指先が耳たぶに触れて、北条の身体がビクリと粟立った。
「あ……ッ!」
「ははっ、可愛い声も出せるなんて、さすがアイドルだな」
「ち、がっ……これは!」
理市の指は、段々と触れる位置を下げていく。
触れるか触れないかのギリギリの撫で方で、首筋を撫で、喉仏をコロコロと触り、鎖骨に人差し指を這わせ……くるくると焦らすように触れられていく。
それだけでも、北条の息は着実に荒く乱れていった。それが、恥ずかしくて、悔しくて、北条は懸命に唇を噛んで耐える。
数秒後。
クス、っと理市の唇が、再び三日月型に歪んだ。
「なーーーーんちゃって!」
「……は?」
突然、空気がコロッと変わり、にぱーーっと笑う理市を見て、北条はぽかんと開けた口が閉じなかった。
一体なんなんだ、と北条は理市から目を逸らせずに、ただただ見つめる。
そんな北条を見て、余計楽しくなってしまった理市は「あっはっは」と笑いながら、北条の上から退いた。
「精液飲んで妊娠するとか、嘘に決まってんじゃん! 冗談だよ、じょーだん」
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