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新郎新婦専用のエレベーターで下へと降りた。
専用の通路で前室へと入り、列席者と新郎が
チャペルに入っているのを確認してから
別館にあるチャペルへと進む。
午前中は曇天だった空に
明るい晴れ間が広がっていた。
重厚な扉の前には笑顔のパパの姿。
その姿を見ただけでまたウルウルしてしまった。
「パパ、歩き方大丈夫?」
「リノも躓くなよ?(笑)」
「今まで…、ありがと…」
「夕べ聞いた(笑)
マサノリなら安心して任せられる。
アイツなら大丈夫だ」
その言葉に堪えられず
とうとう涙を零してしまった。
介添えの方がすかさず涙を押さえてくれて
そろそろ入場になりますと伝えられ
パパの腕に手を添えた。
目の前の扉に両脇から正装したスタッフが立ち
扉に手をかける。
中からはウェディングマーチが聞こえてきて
前奏部分が終わると同時に扉が開いた。
少し長めのバージンロードの
その先には黒のフロックコートに
ビシッと髪を固めたマサノリが
こちらを向いて微笑んでいる。
両脇には笑顔の列席者の皆。
そして、目の前には目を潤ませるママ。
ベールダウンを列席者の前で行う事にしてたので
一旦パパと組んだ腕を離してママと向かい合う。
「おめでとう。
2人で幸せになるのよ」
屈んだアタシのベールをおろしながら
ママが小さな声で伝えてくれた。
涙が溜まり、返事をしたくても言葉にならず
コクコクと頷くアタシの頬をそっと撫で
ママはアタシから離れた。
再びパパが隣に立ち腕を組んで
一歩一歩前を向きマサノリの前に進む。
目の前に立つマサノリにパパが声をかけた。
「リノをよろしくな」
「はい!」
元気すぎるお返事をかましてくれた(笑)
チラッとアタシを見たマサノリは
「凄く綺麗だ…」
一言そう呟き、前を向いて腕を曲げた。
その腕に手をかけて
「マサノリも凄くカッコいい…」
小さな声で呟いて、神父さんの前に立った。
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