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瑠璃は脚を組みながら、冷静に「どうしてフラれたのかね?」と問いかけた。レイジェは栗色の髪を揺らし「ウーン」と唸って、自身の?を撫でる。
「……それが、よくわかんないんだよねえ。わたしは、ちゃんと好きだったのに。最近、おうちのことで怒ったりしてたから、なんかむーっと来ちゃったのかも?」
「へえ」
瑠璃は目を細め、バタフライピーのお茶を飲み干した。
「だからがっかりしてたんだけど、瑠璃ちゃんに再会できたから、もういいかなって?ちょっと思ったところ」
「ゲンキンなんだな。レイジェは」
彼女がくすくすと鈴を転がすように笑えば、レイジェは一瞬唇を尖らせたが、すぐにへらりと笑った。
「……それはあるかもっ!だってね……昔からそうなの。なんでかわからないけど、好きになった相手、みんなにフラれちゃう。だから、どんどんつぎの楽しいこと見つけないと楽しくないんだもん!だからいいんだ?ゲンキンでっ!」
「……へえ。大人なんだな、レイジェは」
瑠璃は彼女の言葉に、また申し訳ないような気持ちを味わっていた。胸の内側だけで。しかしそれは言わないし、レイジェが「大人って言われた」とにこにこしているのを見て、ただ目を細めるばかりだった。
「次はいつ会える?」
「いつ?」
「せっかく再会できたんだから、また瑠璃ちゃんに会いたいよぉ」
レイジェはそう言って、瑠璃のことをまたぎゅうっと抱きしめる。
大きな胸に圧迫されるようにしながら、瑠璃はつま先で地面を踏みしめる。柔らかくあたたかい彼女に触れながら「そのうち」とだけ、瑠璃は答える。
「じゃあそれを、たのしみにしてるっ!」
そう言って、レイジェはにっこりと嬉しそうに、大輪の花が咲くように笑う。瑠璃の青い瞳を、見つめながら。
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