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2 いちばんきれいな青
瑠璃は、魔法使いとして、地上の楽園リーデルガーデンに来る前……地下の冥界・ディストピアデイズに暮らしていた。何もない真っ暗な闇と、魂の入った檻を管理して、日がな目的もなく、ただ存在を消費する日々を繰り返していたのである。
「……綺麗」
瑠璃がディストピアデイズで暮らし始めて、一万六千日が経ったある日、彼女は真っ青に輝く魂を見つけた。死んだばかりで何もわからないまま、冥界に降りてきたその魂。それは瑠璃の瞳に、ただひとつの宝石のように映ったのである。
こんなにも胸が踊るもの、心臓の動きが早まって、落ち着いていられなくなるものがあることが、信じられないほどだった。
だから瑠璃は、その魂を流転に送った。
冥界で暮らすのではなく、流転を繰り返す存在に、魂を格上げさせた。
そして瑠璃自身も、冥界から脱走し、地上へとやってきた。なんの権能も持ちはしない、生きるばかりの魔法使いとして。
そしてあの、真っ青な魂を持って生き続ける《乙女》を守護し続けている。
レイジェが悪い何かに引っかからないよう、瑠璃は彼女を見守り続けているのだ。迷子を救ったのだって、彼女がふられたことだって、偶然ではない。
瑠璃は、ただ守り続けるのだ。
あの美しい魂が、美しくあり続けて欲しいと思って、ただ繰り返すばかりなのだった。
おわり
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