アイヨリイデ、アイニカワル

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諺にある。 青は藍より出でて藍より青しと。 意味は確か、弟子が師よりも優れる事を差したか。 主藍の誉れとも言うらしいけど。 「鳶が鷹を産む?」 「否、それだと親よりも子供が優れるって意味になる筈だからさ」 訪れた藍染の工房で、何故かそんな話になった。 「藍と言えば何を連想しますか」 工房の主の何気ない一言に別の参加者が答えた言葉。 それに対する優奈の呟き。 声は僕の背中で砕けて、他の人には伝わらなかったけれど。 「インディゴ・ブルー」 「はは、それは染料としての名前でもありますね。ジャパン・ブルーの方が今は一般的です」 「サッカー?」 クエスチョン・マーク付きでまた優奈が呟く。 僕にしか届かない声で。
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